ServiceNow有効活用術 ~余剰なソフトウェアライセンスを最適化しよう~

多くの企業がServiceNowプラットフォームを導入し、サーバーやパソコンの構成管理、インシデント管理、依頼内容のカタログ申請化などで業務効率化を実現しています。しかし、ソフトウェアライセンス管理については、その機能を十分に活用できていない企業も少なくありません。

企業におけるITインフラの複雑化が進む中、手動による構成管理やソフトウェア管理は時間とリソースを大量に消費するだけでなく、人為的ミスのリスクやコンプライアンス違反も増大させる原因となっています。

ServiceNowを導入しているのであれば、IT運用管理(ITOM/ITAM)機能を活用し、効率的なソフトウェアライセンス管理を実現することで、無駄なコストの削減やコンプライアンス違反の是正を目指してみませんか?

本記事では、ServiceNowのITOM/ITAMソリューションを活用したソフトウェアライセンス管理の方法と、その導入によるメリットについて詳しく解説します。

ソフトウェアライセンス管理の課題

企業内では、あるユーザーが利用していたパソコンを他の従業員へ譲渡する際、そのパソコンにインストールされているソフトウェアやライセンス情報が適切に引き継がれないケースが多く見受けられます。

このような状況では、ソフトウェアの利用状況やライセンスの帰属を正確に可視化することが困難となり、結果として不要なアプリケーションがインストールされたまま放置される事態が発生します。ITシステムの一元管理ができていないことで、業務効率の低下を招いてしまう原因となります。

さらに、ソフトウェアライセンスの契約情報と実際の使用状況の不一致が頻繁に生じることで、以下のような課題が発生します。

課題1
過剰/無駄なコストが
発生している
利用していない不要なソフトウェアを継続したり、購入済みライセンスを適切に再利用できないため、無駄なコストが発生。
課題2
資産の利用状況を
把握できない
サーバー、パソコン等にインストールされているソフトウェアの利用状況を把握できていない。
古いバージョンのソフトウェアや、未許可のソフトウェアを使用することによるライセンス契約違反に伴う法的リスクや罰金が発生し、社会的信用を失う可能性がある。
課題3
バージョンアップ作業計画の
立案ができない
バージョンアップが必要となるソフトウェアがインストールされているかを特定できないため、最適なソフトウェアバージョンアップ作業計画を立案することが難しい。
また、古いソフトウェアを利用し続けることで、業務効率が低下してしまう。
課題4
運用工数/負荷が高い
手動によるソフトウェアライセンス状況の棚卸しや、ライセンス再配置における運用作業に時間がかかる。また、障害発生時に影響を受けるデバイスを特定するなど、トラブル発生時の原因特定や対応が遅れる可能性がある。
結果として、IT担当者の作業負荷が高く本来の業務に注力できない、といった事が起こり得る。

これらはITコストの無駄遣いやライセンス違反という深刻な課題につながり、企業のDX推進を妨げる要因となっているのです。ServiceNowの機能を活用し、これらを解決する方法があります。

「Discovery」

「Software Asset Management(SAM)」で解決!

servicenowイメージ

ServiceNowのITOM/ITAM機能で、最適なソフトウェア管理を実現

ServiceNowのIT運用管理(ITOM/ITAM)機能「Discovery」と「Software Asset Management(SAM)」を活用することで、無駄なコストの削減やコンプライアンス違反の是正を行い、効率的かつ最適なソフトウェアライセンス管理を実現することができます。これにより、上記の課題を効果的に解消することが可能になります。

Discovery機能の詳細と活用法

Discoveryは、ネットワーク上のデバイスを自動的に検出し、定期的にそれらの情報を構成管理データベース(CMDB)に自動で反映させる機能です。具体的には以下のような働きをします。

  • 自動デバイス検出: コンピューター、サーバー、プリンター、各種IP対応デバイスを自動で検出
  • インストールソフトウェアの把握: 各デバイスにインストールされているアプリケーションを自動で識別
  • CMDB自動更新: 収集したデータに基づいて、CMDB内の構成アイテム(CI)を定期的に更新

これにより、「どのパソコンに何のソフトウェアがインストールされているか」「誰がどのソフトウェアを使用しているか」という情報を常に最新の状態で把握することができます。手作業による棚卸し作業が不要となり、人為的ミスも大幅に削減できます。

Software Asset Management (SAM)の機能と効果

SAMは、ソフトウェア資産のライフサイクル全般を統括管理し、コスト削減・法令遵守の維持・リスクの低減を実現するソリューションです。主な機能と効果は以下の通りです。

  • ライセンス契約の一元管理: 各種ソフトウェアのライセンス契約情報を一元管理
  • ライセンスコンプライアンスの自動チェック: 契約ライセンス数と実際の使用数を自動比較し、過不足を可視化
  • ソフトウェア使用状況の分析: 実際の使用頻度や利用パターンを分析し、最適なライセンス配分を提案
  • コスト最適化: 未使用ライセンスの特定や重複ライセンスの検出によるコスト削減

DiscoveryとSAMの連携による相乗効果

DiscoveryとSAMを組み合わせた時の利用イメージは以下です。画像下の表にて実際に何が行われるかステップで解説していますので、合わせてご覧ください。

servicenowイメージ
ライセンス管理プロセスの概要
Step1
情報収集
ネットワーク内のデバイスを自動的に検出し、ソフトウェア資産などの情報を構成管理データベース(CMDB)に自動で反映します。
情報が更新された場合は、リアルタイムでCMDBに反映されるため、常に最新情報を維持できます。
Step2
照合
構成管理データベース(CMDB)とインポートしたソフトウェアライセンス契約情報を比較します。
Step3
正規化
収集した情報をノーマライズ、名寄せを行い、ソフトウェアライセンス情報を更新・保持します。
またServiceNow社が収集した最新のソフトウェア情報に基づき、保持したライセンス情報を評価します。
Step4
可視化
システムが複雑なライセンス形態を自動的に計算し、IT担当者がソフトウェアライセンス状況の評価を確認できます。主に以下のようなものが確認できます。
  • 過剰支出、無駄な購入(契約数>実態数)、低利用なライセンス
  • ライセンス違反(契約数<実態数)、サポート終了
  • 監査リスク(サポート終了期限が決まっているライセンス)
Step5
無駄の是正
低使用のライセンスは、各ユーザーへライセンス解放の検討を促し、不要な場合はライセンスを解放します。
また、再利用ルールを定め、ルールに沿って使用されていないライセンスを特定し、そのソフトウェアやアクセスを除外して、別ユーザーのためにライセンスを解放します。
Step6
コンプライアンスの是正
違反が発生しているライセンスは、各ユーザーへライセンス違反を通知し、ライセンスを解放します。また、これからEOS/EOLを迎えるライセンスへの対処も行えます。

デバイスの資産/構成管理にまつわるServiceNow機能 (ITOM/ITAM)

ServiceNowではデバイスの資産/構成管理を効率、且つ最適化する機能があります。

機能1
Discovery
コンピューター、サーバー、プリンター、様々なIP対応デバイス、およびそれらで実行されるアプリケーションを検出し、収集したデータをCMDB内のCIに反映可能。
機能2
Software Asset Management(SAM)
ソフトウェアライセンスの購入情報と使用実態を比較し、余剰や超過分を明確にし、無駄なコストの削減およびコンプライアンス上の問題を特定し、是正が可能。
機能3
Certificate Inventory and Management
すべてのTLS証明書を検出し、その在庫を確認し管理。特定のポートや個々のURLから証明書を自動的にスキャンしてCMDBに情報を連携させたり、有効期限間近または期限切れの証明書に関するイベントを作成可能。
機能4
Firewall Audits and Reporting
新しいファイアウォールルールを追加変更したい場合、サービスカタログを使用して設定に自動反映。
機能5
Event Management
外部監視ツールからのイベントを受信し、イベントルールとアラート管理ルールに基づいてインシデントを生成。
機能6
Cloud Insights
クラウド稼働状況や設定値を収集して、利用状況を分析。クラウド環境を最適化します。また無駄なコストの削減やポリシー違反を特定し是正が可能。
機能7
Hardware Asset Management(HAM)
ハードウェアからの情報をCMDBに登録し、資産管理とレコードの同期及びマッピングを行いCMDBに登録。

まとめ ServiceNowでソフトウェアライセンス管理を最適化

ServiceNowのIT運用管理(ITOM/ITAM)機能「Discovery」と「Software Asset Management (SAM)」を活用することで、以下のような効果が期待できます。

  • ソフトウェア資産の正確な可視化と自動更新
  • ライセンスコンプライアンスの自動チェックと違反リスクの低減
  • 未使用・重複ライセンスの特定によるコスト最適化
  • 手作業による資産管理業務の大幅な削減
  • データに基づいた合理的なIT投資判断の実現

既にServiceNowを導入している企業であれば、これらの機能を活用することで効率的なソフトウェアライセンス管理を実現できます。ぜひ、自社のServiceNow環境でITOM/ITAM機能の活用を検討してみてください。

効率的なソフトウェアライセンス管理は、単なるコスト削減だけでなく、企業のDX推進を支える重要な基盤となります。ServiceNowのプラットフォームを最大限に活用し、最適なIT資産管理を実現しましょう。
ServiceNowを活用するライセンス管理に興味がある方は、ぜひお問い合わせください。

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